日ハム大谷の驚異の潜在能力 課題改善すれば、直球は「捕手もとれない」!?
「160キロなりのキレがない」、全盛期の藤川球児とは対照的?
「いわゆる『腰が入った状態』というのが、投げる方でも打つ方でも少ない気がするんです。外から来たカーブ、スライダーを前で払えば、それは飛ぶ。あれだけの体を持っているから。反対方向に払ってしまえば、ヘッドが効いて、飛んで行く。それだけのとんでもない力を持っている選手です。それでホームランは出ていますけど、バッティングでもしっかり腰が入っていれば、ライトに距離が出るはずです。でも、今は距離が出ているのがセンターから左方向への打球ですよね。
無理に引っ張っていないから良いバッティングだと見えますけど、私は逆に見ています。つまり、あっち(左方向)にしか距離が出ないのではないかと。しっかり腰が入っていれば、絶対に右方向にも距離が出てくるはずです。左方向にあれだけ飛ばせる選手が、右方向に距離が出ないはずがない。それはそういうところに問題があるのではないかと」
上半身と下半身の連動が、まだ不十分だというのだ。そして、それはピッチングも同じだと見ている。
「ピッチングの時にも腰がグッと入ってこないから、下半身の“蹴り”の力が使えていない。上体の力でスピードガンの球速は出せるけど、キレの部分までは届かないのではないかと。普通は、163キロを振ってもファウルにならないですよ。初速163キロだったら、終速では155、6キロは出てないと駄目です。でも、対戦相手があれだけ振ってファウルになるということは、そこまで終速が出ていないのではないでしょうか。
私は163キロのボールを体感したことがありませんけど、もし初速と終速の差が10キロあったら、多分、打者は163キロが来ているという感じでは打っていないと思います。160キロ超のボールを前に飛ばされたこともありますので、それは160キロなりのキレがないということではないかなと。もちろん、“貯金”がありますから、他のピッチャーと比べれば手元では速いのでしょうけど」
対照的だったのが、全盛期の藤川球児(阪神)のボールだという。「火の玉ストレート」とも呼ばれた直球は圧倒的なキレ味を誇り、打者の手元でホップするとも言われた。野口氏は言う。