重量打線・西武の中で光る俊足、CS出場のカギを握る男・金子侑司

キャリアハイ更新も「数字よりも、今のいい状態を続けて試合に出続けることを意識」

 7月23日vsソフトバンク戦も、金子の必要性が象徴される一戦になった。1-1で迎えた8回表のことだ。1死から右安打で出塁すると、次打者・森の初球で盗塁成功。直後、森の右安打で逆転の本塁を踏んだ。「使い続けてもらっているからには、1度は塁に出てホームに還ってくることだとか、何とか1日1回はチームに貢献したい」という強い意識が、好成績につながっている。

 50試合以上を残しながらも、安打数、打点、得点、四球数、盗塁数でキャリアハイの数字を更新中だ。中でも、盗塁は糸井嘉男(日ハム)に続くリーグ2位を誇り、タイトルも十分狙える位置にいる。また、シーズン半ばとはいえ、打率、出塁率は、過去3シーズンをはるかに上回る(7月24日終了時点で打率.280、出塁率.345)。

 「自分の課題は、良い時期と悪い時期の差が激しいこと。正直、数字よりも、今のいい状態を続けて、このまましっかりと試合に出続けることの方に意識を強く持っています。とにかく、良いシーズンにしたいので」

 目の前の1試合、目の前の1プレーに集中することが、好成績を残す近道なのかもしれない。

 超重量打線の中で、軽打、走塁に特化した稀有な存在。自らの存在価値を見出しつつある今、誰にも負けない武器でチームを盛り上げ、1つでも多く勝利へと導きたい。

【了】

上岡真里江●文 text by Marie Kamioka

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