【高校野球】1球に泣いた春の屈辱バネに成長 プロ注目左腕が木更津総合を春夏出場へ導く
左腕・早川が今大会5試合目の完投
26日に行われた第98回全国高校野球選手権千葉大会決勝で、プロ注目の木更津総合・左腕早川隆久投手が今大会5試合目の完投で、千葉の名門市立船橋の復活を阻止。チームメートを春夏連続甲子園に導いた。
6回2死満塁でフルカウントから140キロの速球を7番の高田悠太にセンター前に弾き返され、一時同点とされたが、9回女房役の大澤翔がしぶとく右前に決勝打を放ち、再びリードを奪った。その裏、早川は中前打と盗塁で2死二塁と同点のピンチを迎えたが「気持ちは燃えていても、頭は冷静に」と、市立船橋の宮慎太朗主将をこの日最速タイの141キロで追い込み、最後はタテのスライダーをひっかけさせて遊ゴロ。3-2の勝利に導き、そのピッチングが一級品であることを証明した。
今春選抜の屈辱がバネになった。準々決勝の熊本・秀岳館戦で8回まで2安打無失点、1-0で迎えた9回裏2死三塁、フルカウントから自信をもって投じた内角速球がボールと判定された。そこから崩れて同点からサヨナラ負けへ。「あのジャッジが成長させてくれた。決め球がないから真っすぐを投げるしかなくなり、粘り負けする。決め球も3種類使い、変化球も多くなって、千葉の頂点に立つことができた」と言い切った。
タテのスライダー、チェンジアップに加え、6回1死満塁で前日の準決勝習志野戦で走者一掃の三塁打を放った橋本を空振り三振に切ってとったツーシームは、磨けば十分プロで通用する。前日の準決勝で右膝に死球を受けたが、時間がなくアイシングだけで病院にも行かなかった。違和感を抱えながら見事に一人で投げ切った。「早川を甲子園に連れていけてよかった」(小池主将)。ナインの思いが一つになって、三塁側ベンチ前、監督、部長、主将に続いて、早川が3度宙に舞った。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count