U15侍の誇るユーティリティマン鈴木琉晟、チャンスを生かし攻守で貢献
野球のために一家で引っ越し、期待に応えてU-12、U-15と連続代表入り
リトルリーグに従兄がいたこともあり、硬式野球を始めた。ところが、同学年は鈴木を含めた2人だけ。チーム全体の人数も少なかったため、小学6年や中学1年の選手と同じ練習をしてきたという。しかも、小学3年の時に同級生が辞め、ついに1人になってしまった。家族会議の結果、茨城県大子町で生まれ育った鈴木は、ひたちなかリトルリーグでプレーするために家族全員でひたちなか市へ引っ越した。
自ら意欲的に練習に励み、小学6年時にはU-12日本代表入り。そして、U-15を目指してきた。「練習は毎日やらないと気が済まない子。熱があってもやるくらい。38度を超えなければ、走りに行ってしまいます。『ちょっと走ってくる』と出て行くと1時間半くらいは帰ってきません」と母・恵さん。学校では陸上部に所属し、800メートルでは茨城県大会で5位になった実績も。県選抜入りもした俊足が自慢でもある鈴木は、植田太陽とともに2013年のU-12に続く侍ジャパン入りを果たした。
2、3戦目と出番がなくても、きっちりとチームに貢献した鈴木。父・幹生さんは「自分から声をかけてチームを盛り上げ、チャンスをもらった時には活躍できるよう、集中してやってもらえれば」とエールを送る。母・恵さんも「ベンチでスタンバイしている選手も、試合に出ている選手も、役割があると思うので、与えたらお仕事をこなせればいいですね。欲をいえば、U-12の時はブロンズメダルだったので、銀……、いや、ゴールドメダルは欲しいなという気持ちはありますね」と期待を込めた。
両親の思いを一身に受けた鈴木は「予選リーグは大差で勝つことが多かったので、またここから気を引き締めて、全勝でスーパーラウンドに行けるように。まずは目の前の明日の試合をしっかり勝ちたいと思います」と健闘を誓った。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi