25年ぶりVへ広島牽引、野村はなぜ好調なのか 元恩師が語る5年目覚醒の理由

優しい表情の裏に隠された一面、「おそらく、燃えるものはあると思う」

「若手の投手が、黒田投手のようなベテランにはなかなか話かけることはできませんが、野村は興味津々でどんどん聞きに行くタイプです。黒田投手も丁寧に教えてくれるそうですよ。技術的な面だけでなく、メンタル面でも参考になっているようで、それが今生きているのだと思います。もともと器用な子なので、外のボールの出し入れが多かったですが、今年は右バッターにも逃げずに内を攻めるようになりました。それは本人もはっきり言っていました」

「今年は優勝したいし、できると思う」。野村は田中コーチにそう話しているそうだ。

「大学時代、神宮で投げていても、打たれたら絶対にボールを変えます。優しい顔とは裏腹に、本当に負けず嫌いです。安心したらダメだと思っているのではないでしょうか。悔しい気持ちを力にしているのだと思います」

 新人王に選ばれた2012年シーズンは、まだ巨人に菅野はいなかった。「翌年、巨人に入団した菅野は1年目からエースとして活躍しました。おそらく、燃えるものはあると思いますよ」。

 悔しい気持ちをバネに成長を続けてきた野村はチームを25年ぶりの優勝へと導けるか。

【了】

篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki

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