サブローが泣いた日 思いがけない涙と忘れられない助っ人の言葉
9月25日が引退試合、心はいつもマリーンズとともに…
「あの試合、全然駄目だったオレにそう声をかけてくれて本当に嬉しかったなあ。最後の最後はアカンかったけど、報われた気がした」
もう涙は止まらなくなっていた。試合中にベンチ裏で悔し泣きをして、試合後に外野で泣いて、マウンドで泣いた。そしてビールかけで笑いながら泣いた。クールな男が、一日でこんなに泣いたことはない。それほど激しい一日だった。
「05年の優勝は嬉しかったなあ。楽しかったよな。本当にマリーンズは最高のチーム。愛している。これからもっともっと強い世界一のチームになってほしい」
様々な思い出を残し、サブローは22年間の現役生活に別れを告げる。苦しいこと、辛いこともたくさんあった。そして、嬉しかったこと、誇らしいことも同じくらい経験した。何よりもこのマリーンズというチームで多くの人、ファンと出会うことができた。そのすべてが宝物だ。9月1日に行われた引退会見でそのことを思うと、涙が止まらなくなった。「男は泣くものではない」というのが哲学である選手が人目をはばからずに泣き続けた。それは初めて優勝をした05年10月17日に見せた時以来の姿だった。
9月25日のオリックス戦(QVCマリン、13時試合開始)に引退試合が組まれた。背番号「3」はユニフォームを脱ぐ。ただ、心はいつもマリーンズと共にある。日本一のチームになってほしい。世界一、魅力的なチームであってほしい。誰よりもマリーンズプライドを持つ男は次の世代にその想いを託す。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
【了】
マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara