「おかわり」に憧れる「おかわり二世」 3年目台頭の裏に“違い”の発見

「中村さんみたいになりたい」との強い思いが不振を招く原因に

 当然、山川自身も、憧れ続けてきた選手とチームメートとなり、間近で手本を見られるようになればなるほど、自らとの本質の差を痛感させられた。それでも、「中村さんみたいになりたい」。自主トレ、キャンプなど、タイミングを見つけては、直々にキングに教えを乞い、完全習得に躍起になった。だが、皮肉にも、それが昨季までの不振につながっていたと、「おかわり二世」は振り返る。

「今年になるまで、とにかく真似しようと思っていました。でも、構えは似ていても、打ちにいってからのバットを出す軌道や足の着き方が、全然違うんですね。中村さんは、リスト(手首)の強さで打っている僕とは違って、腰を中心に回って打つタイプ。バットも、腰元で構えて、指を2、3本添える感じで握るだけですし、ステップした足も、真っ直ぐに下ろして閉じています。だから僕も、そこにこだわって、まっすぐ下ろして、『閉じよう、閉じよう』と意識していたのですが、それに必死になりすぎて、逆に、上半身(肩)が開いていたんです」

 それが、今年になって、「違くてもいいや」と、思えるようになったことで、結果が変わってきたという。「ステップして下ろした足が開いても、つま先さえ外側に開かなければ、僕の場合は回転しやすい。それに、構える位置も、肩付近にして、ヘッドを入れて、円を描くように振る。中村さんとは、全然違いますが、それが、今一番自分の中でハマっているんです」。結果が出たことで、「僕はこれでいいんだ」と思えるようになった。そして、打席の中で、自分とではなく、相手投手とだけ戦うことができるようになったことが、好結果につながっているのだ。

 その“違い”に気付けたことこそが、3年目の大砲の最大の成長だと、宮地2軍コーチは語る。「この3年、間近で憧れの『中村さん』を見てきて、フォームや感覚の違いに気付いたんやと思う。でも、違っていることは決して『劣っている』ということではなく、山川には、中村にはない、山川なりの良さがある」。さらに、同コーチは、打撃である程度結果が出せてきた中で、守備、走塁において、敗戦につながる痛恨のミスをした経験も、山川にとっては大きな成長につながっていると見ている。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY