亡き恩師との“会話” ロッテ・サブローが野球人生を共に過ごしてきたノート
「あの人のことを忘れたらアカン」
「食事をしたときはむちゃくちゃ元気だったから。今思うと、きっとオレに心配をかけさせたくないと無理していたのだと思う。本当は相当、しんどかったんやろうな。それなのに楽しい時間を過ごさせてもらった。そういう人だった」
ロッテ・サブロー【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
04年の夏。恩師・高畠氏はすい臓ガンで亡くなった。それ以降、サブローは遠征用バックに、師匠の笑っている写真が貼られているストラップを取り付けた。「あの人のことを忘れたらアカンという思いから」と当時のサブローは寂しげに言った。そして、それからもずっと師匠からのアドバイスを必死にメモしたノートと共に野球人生を過ごしてきた。
師匠も、きっと天国で、どんな時も背番号「3」を見守ってくれていたはずだ。サブローは時に弱気になると「大丈夫や」と声をかけてくれたような気がした。だから、不思議と命日である7月1日にホームランを放った。思えば巨人に移籍しての初本塁打も7月1日だった。チームに合流をした東京ドームでの中日戦。8回に代打で初登場すると左翼へ本塁打。思わず、亡き師匠の優しい笑顔が浮かんだ。
8月31日。サブローは22年間にも及んだプロ野球生活に別れを告げることを発表した。ここまで1781試合に出場。1362安打を積み重ね、127本塁打、655打点。あの日の出会いがあったからこそ、ここまで来られた。幸せな野球人生だった。