仙台大、DeNA熊原卒業後初のリーグV ドラフト候補の桃太郎を中心に制覇
「クマさんがいないと勝てないとは思われたくないと」
「自分たちの力で勝てて、ホッとしています。クマさん(=熊原)が抜けて、僕らはこの春、勝てなくて。仙台大はクマさんがいないと勝てない、クマさんがいたから優勝できたとは思われたくないと思っていました」
そして、この秋のリーグ戦に懸けていた秘めた思いも語った。
「自分もずっとプロに行きたいと思っていましたが、監督から『プロに行きたいのなら自分の力でチームを勝たせろ』と言われたんです」
今春のリーグ戦後、進路について話した時だった。プロに進むことを希望した松本に森本監督がかけた言葉は「それなら、秋はお前の力でチームを勝たせろ。それができればプロは見えてくる」というものだった。
「刺さったんですよ、言われたことが。言い返そうと思ったんですけど(笑)、それが現実だったので。プロに行きたいって言っているくせに何もできなかったな、不甲斐ないなって。今でも思い出すと痛いです、胸が。それくらいグサッときて。そんなことを言われるとは思っていなかったので」
松本は1年春からフルイニングでリーグ戦に出場を続け、毎シーズン、好成績を残してきた。しかし、森本監督の中には、物足りなさがあったのだろう。秋のリーグ戦を戦う上で、また、松本の将来を見据えて“本気”の奮起がほしかったのではないだろうか。
指揮官の言葉で松本の心に「このままではプロに行けない。チームを勝たせられない選手が、次のステージには行けない」と火がついた。オフも返上してひたすらバットを振った。「自分だけが打てば勝てるわけじゃない」と、これまではチームメイトに「上から目線になる」と遠慮していた打撃の話も積極的にするようになった。
自分のために頑張るのではなく、チームのために頑張る。決して、自分本位な選手だったわけではないが、チームへの貢献度を考え始めた松本の変化がチームを躍進させた。