巨人の育成指名辞退から1年 2度目のドラフト待つ24歳外野手の今
文集に書いた“自分の年表”、「甲子園に行って、そこからプロに行って」
強肩強打の外野手・松澤は「自分が評価してもらっているのはバッティングであり、フルスイング」と胸を張る。2016年の課題は、パワフルな打撃を1年を通じて続けられる体力、常に同じパフォーマンスを見せられる正確性を身につけること。リーグ打点王となった昨季から比べると、今季は打率.253、2本塁打、17打点と低迷。その一方で、打数はほとんど変わらない中でも、三振数は46から29に減少し、出塁率は.330前後で据え置きだった。思ったような数字を残せず「思うようにはいかなかったです。甘くないです」と苦笑いするが、「悪いなりにも、しっかり自分のスタイルだったり、野球をやる姿勢は崩せずにできたと思う」と力強い。
小学生か中学生の頃、クラスで作った文集に“自分の年表”を書いたという。「野球選手になりたいって書いて、そこまでの道のりも全部書いたんです。まずは(愛知の強豪)東邦高校に入って、甲子園に行って、そこからプロに行って。あ、そうなんです。その時は、高卒でプロに行く予定だったんですけど(笑)」。
実際に進学したのは、愛知の誉高校。近年実力を発揮している高校だが甲子園出場は叶わず、そこからプロではなく朝日大学に進んだ。年表は単なる“子供の夢”に終わるかと思いきや、大学2年の冬、転機となる出会いが訪れた。先輩の友人で、当時西武ライオンズに所属していた石川貢(昨年引退)の自主トレを手伝ったことで「野球に目覚めました(笑)」と振り返る。
「僕じゃ限界だろうなって諦めかけていたんですけど、練習を間近に見ているうちに、こういう人と一緒に野球をやりたい、NPBに行きたい、やれるんじゃないかって思いが出てきたんです」
本気でプロ野球選手を目指そう。そう思ってはみたものの、簡単な道のりではない。大学4年時は就職活動をしながら、社会人チームやクラブチームに入れないか手を尽くしたが、収穫はゼロ。「監督には『野球をやるんだったら軟式チーム、そうでなかったら普通に就職せい』って言われて……」。手詰まりかと思ったところで、香川でプレーする大学の先輩・中本翔太に連絡をした。「本気で目指すなら来い」。そう言ってくれた先輩の言葉に「中途半端じゃ終われない」と気合を入れ直した。