ロッテ時代は制球難で「自滅」 米国で復活した左腕はなぜ課題克服できた?
制球力向上へと導いた米投手コーチの指摘とは
――とにかくストライクゾーンに投げて、コースを狙いすぎないということを意識したのでしょうか?
「キャッチャーが左打者のアウトコースに構えると、いつも外角低めを目がけて投げていたんです。ただ、日本では(2分割して)『真ん中より外側に投げろ』とずっと言われていたんです。そうすれば、ある程度散らばって(外角低めにストライクが)いくからと。それでもダメだったんです。でも、僕もその時にはそれで(2分割してアウトコースに投げれば)いいと思っていたんです。『真ん中を目がけて投げて散らばるんだから、(外角低めにストライクを投げたいときは)真ん中よりも外に投げればいけるだろう』と。
ただ、アウトコースのボールの時は大概、外角低めに大きく外れるんですよ。ひっかかってしまって。だから、(アウトコースではなくて)真ん中を狙ってみたら、引っかかって真ん中低めのボール球になる。抜けると内角に外れてしまう。それを簡単に考えた時に『今の(腕の)振りで今のところ(アウトコース)目がけて外角低めなんだから、角度を変えて』と考えると、(狙うのは)真ん中高めだなと。じゃあ、『真ん中高めに目がけて投げたらどうなるんや』と考えたら、外角低めに(ストライクが)いったんですよ」
――ただ、それでは根本的な解決にはならないですよね?
「そこだけで解決したら、多分ぐちゃぐちゃになっていたと思うんです。そこだけで満足して『真ん中高めを狙ったら、外角低めにいくやん』では、おかしくなってしまう。『あれ、またここ目がけて投げているのにぜんぜん違うところにいく』と。ただ、延長キャンプで投手コーチのマイク・パロットさんに『引っかる時は全部、肘が肩より若干下がっているか、手首が若干寝ている』と言われました。(一般的に)『肘を上げろ』とか『手首を立てろ』というのは、よく言われるんです。
確かに、僕はサイドスローなので、手首が寝ることがある。外角低めを狙う時は、手首が寝てしまっていたんです。ただ、ちゃんと行く時は、真ん中高めを狙っているので、手首が立っているんです。それに順番に気づけたのが大きかったですね。最初から肘と手首だけに気付いていて、低めに投げていたら『あれ、手首は立っているのにまた引っかかる』とか、ぐちゃぐちゃになっていたと思いますけど、それを順番に気づけたことによって、『引っかかっているから、ここに行った。じゃあ、手首が寝ているんだ』と。順番に考えられた。3Aで一番良かったのは、左バッターのアウトコースへの真っ直ぐで、どうしようもないボールがなかったことなんです」