細川退団はホークスの来季にどう影響? 若手育成急務も世代交代の難しさ
信頼厚かったベテラン捕手、来季は「強敵」として立ちはだかる可能性も
一方で、今季最もマスクを被ったのは、35歳の鶴岡。開幕後から先発マスクを被り続け、103試合に出場。それに、34歳の高谷が続いていた。だが、開幕後からチームは圧倒的な被本塁打数に悩まされており、リード面での不安を露呈させていたのも事実。打撃面は鶴岡に分があるが、ことリードに関していえば、細川の右に出る捕手は、チーム内には存在しなかった。だからこそ、工藤公康監督は終盤戦やクライマックスシリーズで細川を中心に起用していたのだろう。その重要性は、ファンも感じていたはずだ。
今後は若手への世代交代も必要となるが、当面は30代中盤の鶴岡、高谷が捕手の中心だろう。この2人に続くのは斐紹、拓也。そして、育成から今季支配下登録された張本優大、2年目の栗原陵矢、1年目の谷川原健太、ドラフトで秀学館高の九鬼隆平を3位指名した。とはいえ、拓也、斐紹もまだ1軍での経験は浅く、常勝を義務づけられているソフトバンクで正捕手を担うまでにはさらなる成長が求められる。張本、栗原、谷川原、九鬼の4人に関しても今後、ファームで経験を積むことが優先となるだろう。
一方、経験豊かな細川はリード面だけでなく、投手の観察眼など様々な面で投手、野手問わず、チームメートから絶大な信頼を受けていた。今季の働きを見ても、卓越したリードなどは周囲から評価されている。しかも、常勝軍団を築いたソフトバンクの中心。何にも代え難いデータも、その頭の中に入っている。獲得したい球団は必ずあるだろう。すでに退団の報を受けて、一部では他球団が獲得の調査に乗り出すとも報じられている。
ソフトバンクは、来季からその細川を敵に回すことになる。獲得した球団は、その存在をフルに活用してくることだろう。決して、その穴を簡単に埋められないチーム状況もある。「細川退団」はソフトバンクの来季に、思った以上の影響を与えるかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count