田中将大が3年目で飛躍遂げた要因 「防御率1.94」、数字が示す大きな違い
防御率「4.17」、「2.16」、「1.94」が示すもの、「田中は圧倒的に試合を支配できる」
「変化球でカウントを取って、変化球で勝負する。マッキャンと組んでいる時は、基本的にそういう形でした。そうなってくると、どうしても苦しい。何とか抑えても、すごく苦しそうな投球に見えました。おそらくですが、マッキャンの言い分としては、『あれだけいいスライダー、いいスプリットを持っているから、その場その場で勝負している』ということでしょう。ただ、(試合の)流れどうこうではなく、プレーボールの最初のボールから変化球を使って、追い込んで、真っ直ぐを見せて変化球勝負、となってしまっていた。これでは長持ちしなくなります。
逆に、サンチェスはオーソドックスだった。立ち上がりはフォーシームやツーシームといった速球中心でいって、追い込んだらスプリットやスライダーという形です。あとは、もう1人の捕手の(オースティン・)ロマインやサンチェスだと、田中は首は振らないけど、頷かない。自分が思ってる球種が出るまで、待っている。マッキャンだと少し遠慮があるのかな、というのもありました。ちょっと田中自身が思ってるのと違うサインが出ることも多かったのではないかと。特に、スプリットが続いたりとか。もちろん、時にはそういうことが必要な時もありますけど、マッキャンはそれが多かった。今季はまずツーシームを使えるようになって、さらに自分が思うように組み立てられるようになってきたのだと思います」
数字の違いは明らかで、今季はマッキャンと組んだ15試合が防御率4.17、ロマインと組んだ9試合が同2.16、そしてサンチェスと組んだ7試合は同1.94となっている。来季も田中が先発の試合はサンチェスが先発マスクを被ることが確実なだけに、期待が持てる。
ただ、サンチェスは若い捕手だけに、当然、来季も続けてうまくいくとは限らない。今年もリードに改善点が見られることはあったという。
「速球中心でいって、追い込んだらスプリットやスライダー。サンチェスは、まだ判を押したようにリードがそうなってしまう。だから、追い込んだ直後にストライクからいいところに落ちていくスプリットを見逃されることがある。なので、マッキャンのリードのいいところも取る必要があります。それが出来れば、田中は圧倒的に試合を支配できる。今年も支配はしていましたけど、圧倒する感じではなかった。いい時のダルビッシュのように、相手が手も足も出ないピッチングが出来るようになるのではないかと思うのです」
確かな手応えを掴んだスタイルで、活きのいい若手捕手と共にメジャーの猛者たちを牛耳る。来季、サンチェスとのコンビがさらに良くなれば、日本人初のサイ・ヤング賞という快挙が現実味を帯びてくる。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count