侍ジャパンU-23代表を世界一に導いた手腕 斎藤雅樹監督の懐の深さ

世代を代表するプロアマ合計24選手「みんながうまく力を出せるように…」

 斎藤監督にしてみれば、世代を代表する選手たちが集まったという事実以外に、追い風になる要素はない。事前合宿初日の一週間後は、もう大会初日が始まる。だが、裏を返してみれば、自軍の選手がいないことで、選手全員とフラットに接することができる好機。「元気ハツラツ」をチームモットーに掲げた指揮官は、「個人として資質がある選手が集まってきているわけだから、みんながうまく力を出せるようにっていうのが一番ですよね」と、シンプルかつ分かりやすい起用法を貫くことにした。

 もちろん、短期間で個々の能力を最大限に引き出すための環境作りをしたり、適材適所を探ることは難しい。そこでメンバー選考の段階から、鹿取義隆テクニカルディレクターを中心に厳選に厳選を重ねた。イースタン・リーグ所属の選手については、斎藤監督自身が対戦経験から得た情報を持っている。情報が足りないウエスタン・リーグは三輪隆コーチ(オリックス2軍育成コーチ)や大塚晶文コーチ(中日2軍投手コーチ)、社会人は代表監督を務める安藤強コーチの意見を仰ぎ、目指すチーム像に合う選手を集めた。目指す形とは、日本のお家芸とも言える「スモール・ベースボール」だ。

 ファーストラウンド初戦から、選手が出塁した場面では、徹底して次打者に送りバントのサインを出した。「投手力と守備力が大前提。攻撃は得点圏に確実に走者を送り、少しずつでもいいから得点を重ねること。それがこのチームには合った戦い方」と話し、機動力を駆使。相手投手のモーションが大きい時には、容赦なく盗塁を仕掛けた。

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