10年前に描いた夢が現実に 清宮の後打つ1年生4番、早実・野村が秘める思い
2006年の甲子園決勝を生観戦していた野村
また、野村は「今もプレッシャーはありますけど、前よりはないです。今は引っ張っていこうという感じです」と自分自身の成長も感じている。今は清宮が勝負を避けられても「安牌」の選手ではなくなった。力強いスイングで、真っ直ぐにも変化球にも強い打者になった。気がつけば、高校通算23本塁打。先輩の清宮が1年生時に放った本塁打数21を超えた。プレッシャーにも強く、悔しさを力に変えられる根性も備わっている。
生まれは大阪。6歳まで神奈川にいたこともあったが、小学校1年からは兵庫に住んでいた。宝塚市出身で中学時代は大阪福島リトルシニアに所属。全国大会に何度も出場し、日本代表の経験もあるなど実力のある選手だった。
大阪の学校からも誘いはあったが、選んだのは東京の名門への進学。2006年の早稲田実と駒大苫小牧の決勝戦を甲子園球場で生観戦し、優勝のシーンを目に焼きつけたという。その時、早実のユニホームがカッコイイと感じ、同じものを着て甲子園で戦いたいという夢を背負って、東京にやってきた。
東京大会を制した早実は、センバツ出場は当確といっていい。決勝では清宮が5三振とブレーキだったが、4番の野村が打ちまくった。最後はサヨナラ本塁打で試合を決め、清宮から「男だな!」と褒められた。清宮だけのチームではないことを証明したのだ。約10年前に見た夢の舞台へ、野村はまもなく足を踏み入れる。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count