再び野球熱取り戻すために― 復興地・石巻が「一枚岩」で続ける活動とは
復興地・石巻ではアマチュア野球が「一枚岩」に
「野球は辛いんじゃない。楽しいんだよ、ということを感じてほしい。だから、フェスティバル。お祭りなんです」と松本副理事長。メインは小、中学生で高校生や大学生、社会人選手は補助をしたり、アドバイスを送ったり、はたまた盛り上げたり。合間には自らも挑戦し、童心にかえっている。最後にはチーム対抗でダイヤモンドを1周するムカデ競争で盛り上がった。カテゴリーや世代の垣根を越え、子どもから大人まで野球という1つのツールで繋がっている仲間として楽しい時間を過ごした。
どのブースからも笑い声が響き、笑顔が絶えない。内海会長は「小学生から社会人までが1つになってやるイベントはなかなかないので素晴らしい取り組み。一緒の土壌でみんなで明るく楽しくやれる機会はない。みんな、楽しい思い出は残ると思いますね」と子どもたちのはしゃぐ姿に目尻を下げた。
石巻野球会議では、小学生や中学生が高校生、大学生、社会人の選手たちと触れ合うことで、「上のレベルまで野球をやってくれれば」との願いもある。石巻中出身で仙台育英高、東北学院大を経て日本製紙石巻でプレーする井上信志選手は「自分が小さい頃にこういうイベントがあったらよかったなと、うらやましくなりました。自分も楽しませてもらいました」と笑顔。続けて、「都市対抗には石巻市の代表として出るので、市民の皆さんから応援されるきっかけになればいいなと思います。子どもたちに『お兄さんたちの試合を観に行こう』と思ってもらえれば有り難いですね」と話した。
東日本大震災から立ち上がっている復興地・石巻にはアマチュア野球が一枚岩になり、地域を盛り上げようとする熱い思いがある。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi