複雑な事情が絡み合う… 日本人メジャー選手の来春WBC出場が困難なワケ
日本人先発投手4人が抱える事情とは…
しかし、日本人の4投手はそうはいかない。岩隈は1年契約で、今季と同様にイニング数に応じて翌年の契約が自動的に決まる「べスティング・オプション」がついている。16年と17年で計324イニングに達することが条件で、今季の199イニングを差し引いて125イニングを投げれば、18年は年俸1500万ドル(約17億円)で自動更新となる。ただ、届かなければ18年は球団が選択権を持つ1000万ドル(約11億3000万円)の契約で、行使されなければFAとなってしまう。また、150イニングから10イニング投げるごとに50万ドル(約5600万円)のインセンティブ(出来高)もついており、シーズンで活躍できるかは死活問題。WBCでの故障などは避けたいところだろう。
死活問題という点で言えば、前田も同じだ。昨オフの契約前に身体検査で肩肘の懸念を指摘された右腕は、基本年俸を低く抑える代わりに試合数とイニング数に応じた出来高を厚くする異例の契約を結んでいる。今季は32試合登板で175回2/3というフル回転で総額1290万ドル(約14億6000万円)を手にしたが、基本給は1年300万ドル(約3億4000万円)。シーズンに影響が出て、手にする報酬は大幅に減ってしまう。
また、ダルビッシュと田中も来季はターニングポイントとなる。ダルビッシュは6年契約の最終年。来オフにFAとなれば、大争奪戦が繰り広げられると予想されている。現時点でも、メジャートップクラスの6年総額2億ドル(約226億円)程度の契約になると米メディアは報じているが、サイ・ヤング賞に絡むような結果を残せば、さらに跳ね上がる可能性もある。逆に、成績が低迷すれば、価値が大きく下がるかもしれない。メジャー生活で最も重要な1年とも言えるシーズンだけに、万全の準備が必要となる。また、今季は通称トミー・ジョン手術から復帰1年目だったことを考えても、肩肘に余計な負担をかけさせたくないというのが、球団の本音だろう。
田中は7年総額1億5500万ドル(約175億円)の大型契約の4年目となるが、来オフに自らオプトアウト(契約破棄)してFAとなれる権利が盛り込まれている。今季は31試合登板で14勝4敗、リーグ3位の防御率3.07という好成績を残したが、来季も同様の数字をマークすれば、現在よりも好条件の契約をつかめる可能性が高い。FA市場に出れば、ダルビッシュと同じように大争奪戦となるだけに、エース級の活躍を続けたいところ。スプリング・トレーニングの過ごし方は重要になる。
王座奪回へ、メジャーリーガーを招集できるかは大きな鍵となる。最終的にどのようなメンバー構成になるのか、興味深いところだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count