球界は「打てる捕手」不作の時代 90年以降でシーズン20発を放った捕手は?
里崎は勝負強い打撃が光る
○中村武司(中日・横浜・楽天)
現役19年、3チームを渡り歩きながら、2005年にユニホームを脱いだ。通算打率は2割5分(.242)を下回ったため、打てる捕手といい難い部分はあるが、ドラゴンズ正捕手時代の1991年には20本塁打を記録。下位打線ながら意外性のある打撃でファンを魅了した。
90年代以降で20本塁打以上を放った打者たち以外にも、バッティングを買われたり、守備面を考慮され、内野や外野にコンバートされて打撃を開花させた選手も多い。ダイエーの吉永幸一郎内野手や日本ハム、巨人、中日でプレーしや小笠原道大内野手、西武、中日でプレーした和田一浩外野手らも元々は捕手だった。また、ロッテで日本一、日本代表で第1回WBC優勝にも貢献した里崎智也捕手は20本塁打こそ記録していないが、6年連続2桁アーチや勝負強い打撃が光り、リードの評価も非常に高かった。
本塁打数ではなく、打率に目を向けると、2003年にリーグ3位の打率.328を記録し、リーグ優勝に貢献した矢野輝弘捕手も高い打撃技術を持っていた。捕手が打撃とリードの両方を高いレベルで維持していくのは大変な作業と言える。
今年のプロ野球を見ていると、西武の森、阪神の原口に「打てる捕手」としての期待がかかる。ドラフトでもソフトバンク3位の九鬼隆平(秀岳館)、広島4位の坂倉将吾(日大三)など打力の高い高卒ルーキーが入った。育成しながら、魅力のある「打てる捕手」の登場を待ちたい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count