サブローが描き出した野球人生 グラウンド内外で見せたいくつもの“顔”
巨人の選手も惹きつけたサブローの人格、野球への取り組み
向かったのはレフトのポジション。オリックスファンからも大きな声援が送られ、サブローは帽子を取って頭を下げる。そして、1アウトになると今度はライトへ。マリーンズ・ファンから大きな声援。涙をこらえきれないサブローだった。
9回裏、最終打席が回って来た。サブローらしい右中間を抜ける二塁打。「これぞサブロー」。そんな現役最終打席だった。
当日は阿部慎之助、坂本勇人など、ジャイアンツの選手も来ていた。巨人に在籍したのは本当に数か月。CSを争うシーズン中に関わらず、足を運んでくれた。それだけサブローの人格、野球への取り組みが他の選手を惹きつけたのだろう。
試合後のセレモニー、「僕の夢は千葉ロッテマリーンズを日本一の球団にすることです」。超満員のQVCマリン、盛り上がりつつ、どこかセンチだった。
どこかの歌にもあった。「太陽は何度も夢を見る…」。君の夢を一緒に見たい。サブロー、君は、マリーンズの太陽だ!
そして、「さよならは始まり…!」。この先、君が必ずマリーンズへ帰って来ることを誰もが信じている。旧くて青臭い言葉かもしれないが、これは君への「ラブレター」だ。
サブロー/大村三郎
1976年岡山県出身。右投右打。PL学園から95年マリーンズ入団。11年ジャイアンツ移籍後、12年マリーンズ復帰。プロ通算1781試合出場1362安打127本塁打655打点。
◆山岡則夫 プロフィール
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。
【了】
山岡則夫●文 text by Norio Yamaoka