激動の1年― 輝き取り戻したヤクルト坂口が激白「FAは全く頭になかった」

誓う「恩返し」、「1年だけ数字残しても意味がない」

――シーズン途中から1、2番に固定されチャンスメーカーとしてチームに欠かせない存在に。四死球71はプロ入り14年目で最多の数字だった。守備ではリーグ最多の捕殺9、失策0とゴールデングラブ賞4回獲得した実力を見せつけた。

「打率、安打数のことよりも自分自身は四球の数が増えたことはよかった。1番、2番の役割は塁に出ること。ここの数が増えることで出塁率は上がるから。チームが自分に何を求めているのか考えたらそこになる。打点を挙げるのは哲人(山田)、バレンティン、慎吾(川端)、畠山さんといっぱいいるから。守備に関してもまだやれる所は少しは見せられたと思います。あとはチームが優勝できなかったことが一番。去年、優勝していて今年は5位ですからね」

――人生で初めて関西の地を離れ1年。東京での暮らしはどうですか?

「初めは右も左も分からなかった。同級生の大引に球場まで送ってもらったりしました。家を決めるのもだいぶ悩みましたから。でも、慣れれば住み心地もいいし、今はもう関東人です(笑)。オフに関西に戻ってきても標準語で話してやりますから(笑)」

――オフの契約更改では4000万円増の7000万円で一発サイン。保有していた国内FA権も行使せず残留することになった。

「FAは全く頭になかったです。拾ってくれたヤクルトに恩返しすることが一番ですから。1年だけ数字を残しても意味がない。来年は優勝した上で今年以上の数字を残せるようにしたいですね」。

 激動の1年だったが、本人は「あの経験は自分を成長させてくれた」と笑顔で振り返る。12月は地元・兵庫に戻り連日、自主トレーニングを行っている。オリックスで栄光をつかみ、そして挫折も味わった坂口智隆。プロ野球人生の第2章はまだ始まったばかりだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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