元ロッテ胴上げ投手が踏み出した第二の人生…栄光と苦しみの中で学んだこと
巨人のテストに不合格…その場で妻に電話、決意を伝える
その後、ジャイアンツから秋季キャンプ参加を打診されテストまで進んだが、結果は不合格。すぐに現実をしっかりと受け入れ、その場で妻に電話をしてユニホームを脱ぐ決意を伝えた。長男は、胴上げ投手になった2010年生まれ。あの日は妻とスタンドから観戦をしていた。
テストを終え、自宅玄関に迎えに来てくれた息子に一番最初に声を掛けられた。
「パパ、違うチームで野球をするんでしょ?」
まだ、なにも分かっていないと思っていた息子が自分の置かれている状況を把握していることをその時、初めて理解した。そして優しく語りかけた。
「もう、野球は辞めるよ」
そこから伊藤は第二の人生に向かった。
「中学か高校で体育を教えたいです。怪我をした経験も役に立つと思う。胴上げ投手という栄光とその後の苦しかった日々。その両方を子供たちには伝えたい。JR東海で社会人も経験して、プロ野球で日本一を経験させてもらった。いろいろな話が出来る教師になりたい」
教員免許の取得を目指す本格的な日々は来年から始まる。時間のある今はいろいろなことにチャレンジをしている。パソコン教室に通い、栄養学、運動生理学の本も読みあさっている。通信教育での勉学にも励むつもりだ。