姉妹は大女優、甲子園準V選手の野球人生 涙を流した再会と長嶋さんの秘話
長嶋さんに声を掛けられて助手席に…「すごい人だなぁと思いました」
「日大野球部の合宿所の近くに長嶋さんが住んでいました。2年生になる春、上級生のカバンを持って歩いていたら、長嶋さんの車が近づいてきて『学生さんどこ行くの』と声をかけられました。『これから東大とオープン戦です』と答えると『僕も東映フライヤーズとオープン戦なんだ。乗っていきなよ』と車のトランクを開けてくれ、上級生3人が後ろに、私が助手席に座りました。
『君たち日大の野球部員だよね。一人ずつ出身校とポジションを教えて』と言われたので『日大三高出身、倍賞明です』と言いました。甲子園で準優勝していたので『君、あの倍賞君。じゃあ、お姉さんは千恵子さんだ』と私のことを知っていたんです。『今度食事しよう。電話番号を教えてくれ』と言ってくれたので、もう嬉しくて。寮の電話番号を書き、ずっと寮で電話番をしていました。でも、残念ながら電話はありませんでした」
しかしその数か月後、長嶋さんと再会する機会が訪れた。姉の千恵子さんが、雑誌で長嶋さんと対談することになったのだ。
「千恵子姉さんに『一緒に来てくれない?』と言われたので、喜んでついて行きました。その時、長嶋さんに『君、出身はどこ? ポジションは? 今度食事しよう。電話番号を教えて』と同じことを言われました。『長嶋さん、お忙しい方だからサインだけお願いします』と言って、サインをもらって帰りました。すごい人だなぁと思いましたよ」
自身が営むお店には、様々な高校、大学のユニフォームが飾られている。お客さんが、自分が着用したものなどを持ってきてくれるそうだ。そこは明さんと野球談議を楽しむ野球ファンで賑わっていた。
【了】
篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki