筒香と監督の合言葉「ムシカ」とは…映像監督が語るDeNAナインの素顔

惜しくもカットした場面、印象的なシーン、「リーダーとして素質を備えた」選手は…

――惜しくもカットしたシーンは。

「映像的に良かったのは4月の試合後、倉本選手が暗い中で一人でバットを振っていたシーン。開幕からベンチスタートや守備での交代があって、悩んだりしていた。そんな時にバットを振りながら『腐っちゃダメですね』と。そのシーンは入れたかったですが、泣く泣くカットしました」

――カメラを回せなかった中で見た印象的なシーンは。

「春先にチームの調子が悪い時、筒香選手が一人一人にノートに目標を書かせてミーティングをしていたことですね。あと、個人的に好きなのは3月にチームで必勝祈願に行った時、帰りのバスに乗るまでの途中、ファンの子供たちに囲まれたことがあったんです。サインをしてあげたくても、立ち止まると通路をふさいでしまうし難しい。そうしたら、筒香選手が列の先頭を歩きながら、両手を前に出して『あとは好きに触って』みたいに触れ合っていた。不器用なんだけど、微笑ましくて、子供を大切にしているんだなと感じました」

――そんな筒香が慕っている先輩の一人が石川だった。

「筒香選手や梶谷選手もみんな『石川さんが一番好きな先輩です』って言うんです。梶谷選手は右も左もわからない新人の頃に一番面倒を見てくれた人だと。筒香選手も石川選手がいるだけで、いい意味でリラックスした表情になる。ロッカールームでは位置的に真ん中にいるから話が全部、彼を通って会話になったりして。人から愛される星の下に生まれて、チームのリーダーとして素質を備えた人なんだろうなと。内面には熱いものを持っていて、今年は苦しいシーズンだったかもしれないけど、誰に言われなくても外野の練習をしている姿が印象的でした」

――実際にプロ野球に密着して感じたものは?

「この作品を撮る前からイメージが変わったのが、プロ野球選手って、みんな頭がいいなということ。頭の回転が速い。言われたことに対して、すぐに返せる。野球という厳しい縦社会でも上を越していかなきゃいけない、したたかさというスキルは知らず知らずのうちに身に着けているのかなと。ああいう性格だと、どんな仕事もこなせるだろうなと羨ましく思います」

――筒香や梶谷が故障をした直後のベンチ裏の様子など緊迫感のある映像もふんだんに収録された作品に仕上がった。

「勝負の世界を描いてはいるけど、実はロペス選手と今永選手の2人の間での心温まるシーンがあるんです。そういう部分もしっかり描かれていると思うので、ファンの人たちがグラウンドでは見えない選手たちの素の部分も楽しんでもらえたらと思います」

(続く)

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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