165キロ大谷に肉薄 ホークス和田の“遅くて速い直球”がスゴイ

理想的な投球フォーム、セの若手から教えを求められることも

 テイクバックが小さい上に打者から球の出所が見づらく、球持ちがいい。最大限にホームベース寄りのリリースポイントから放たれる直球はスピンが利いてノビが生まれ、球速表示以上に感じる。結果的に空振りが生まれるというものだ。

 いわば、剛球を持たない投手にとっては、理想的な教科書ともいえる投球フォーム。多くのアマチュア野球の現場でも手本とされているが、それは同じプロ野球選手にとっても一緒のようだ。

 昨年6月の交流戦・DeNA戦。試合で投げ合った相手の石田健大が翌日、和田の元を訪れ、アドバイスを乞うたという。

「自分と同じようにテイクバックが小さくて、ずっと理想にしてきた投球フォームなので、話を聞いてみたかった」と石田。この年、9勝を挙げて侍ジャパン強化試合メンバーに選ばれた次代のサウスポーにとって、リーグを越えて生きる手本となっているように、若手からも目標とされる存在となった。

 和田のストレートは、形容するなら“遅くて速いストレート”。肉体的なパワーに頼らない投球術は、長く選手生命を持続させる上でも重要となるだろう。速球全盛の現代プロ野球で稀有な左腕はオンリーワンの存在として、まだまだ輝き続けていく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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