「パズルのようだった」元日本代表監督が語るプロ・アマ混合チームの創成期
絶対的エースだった黒木知宏&松坂大輔、2投手を軸に組んだローテーション
「与えられた条件の中で最強チームを編成し大会に臨みたいという気持ちを強く持っていました。(プロ野球の)シーズン中の大会であり、長期間の選手派遣が難しいのは当然です。予選大会では2回戦から、シドニー五輪では試合の3日前にプロ選手が合流するといった具合で、全員が集まって練習する時間がほとんどありませんでした。試合をやりながら選手の起用方法を模索していく状況でしたので、難しかったですね。選手全員が早く一つのチームになろう、合同練習の少なさをカバーしようと精一杯の努力をしてくれました。シーズン中で時間が取れないのは、プロの選手を出していただける時の条件だったので仕方ありません」
シドニー五輪では、予選リーグ初戦のアメリカ戦で延長13回の末に惜敗。その後4連勝したが、6戦目の韓国と7戦目のキューバに連敗し、決勝トーナメントの準決勝でもキューバに0-3、続く3位決定戦でも韓国に1-3と敗れた。
「あの時、絶対的エースは黒木知宏(元ロッテ)と松坂大輔(現ソフトバンク)でした。この2人をうまくローテーションして、韓国、オーストラリアから確実に勝ち星を取り、決勝トーナメントに駒を進める。キューバ、アメリカは必ず上(トーナメント進出)に行くだろうと思っていました。
しかし、初戦のアメリカ戦を逃げるわけにはいかないので、松坂を先発に持っていきました。結果、延長で交代した杉内俊哉(当時三菱重工長崎、現巨人)がサヨナラ本塁打を喫し黒星スタート。次のオランダ戦に勝ち1勝、実力拮抗のオーストラリア戦に黒木で勝ち2勝、続く格下2チームを相手にアマチュア投手が頑張り3勝、4勝として予選突破を決めました。しかし、松坂を配した韓国戦で敗れ、キューバにも敗れたため予選4位となりました。
決勝トーナメントの準決勝は黒木をローテーション通りに先発させるもキューバに0-3で完敗。3位決定戦の韓国戦、松坂でリベンジを期待しましたが、1-3で惜敗しメダルの獲得の望みは叶いませんでした」