野球人生変えた「怪物」への憧れ 中日ドラ1右腕が横浜高を選んだ理由
日本一&世界一果たした大学生活、最後に流した涙のワケは…
明大では1年春からリーグ戦に出場し、2年秋から主力として活躍。3年夏にはユニバーシアード日本代表に選ばれ、世界一を達成した。4年時は人格を買われ、明大の投手としては川上憲伸以来19年ぶりのキャプテンに任命された。
春は6勝を挙げ、3季ぶりのリーグ優勝に導くと、日米大学選手権では日本代表エースとして連覇に貢献。MVPと最優秀投手賞を獲得した。秋も5勝を挙げ、春秋連覇を達成。明治神宮大会で有終の美を飾った。通算23勝したリーグ戦で奪った三振は歴代8位の338。エース、キャプテンとしてチームを牽引し、大学4年間で目覚ましい成長を見せた。
大学最後の大会となった明治神宮大会、決勝で桜美林大に勝利。5年ぶりの優勝を決めた後、歓喜の輪の中で人目もはばからず涙した。キャプテンとして、常にチームのことを考えていた。誰よりもチームを思うその信念が、実を結んだ瞬間だった。
しかし、流した涙は歓喜の涙ではなかった。
「あれは、うれし泣きじゃなくて悲しい涙です。このチームで野球をすることはもうないんだと思うと、悲しくて。キャプテンを任されていたこともあり、チームに対する思い入れも強かったですし、本当にいいチームでした」
野球を始めた小学生から今まで、チームメート、先輩、後輩、指導者に恵まれ、いい野球人生を辿って来られたと話す。感謝の気持ちを忘れない右腕は、プロでの勝利を積み重ねることで、恩を返していくつもりだ。
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篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki