事故死した父のために―中日ドラ1柳裕也が目指す「勝てるピッチャー」
目標の選手はナシ、柳が目指す理想の投手像とは…
プロで目標にしている選手は特にいないという。目指す投手像は「勝てるピッチャー」だ。
「『すごいな』と思う選手はいますが、誰を目標にしようというのはありません。一番目指しているのは『勝てるピッチャー』になることです。活躍する選手が一番すごいと思います」
シーズンで何勝を目標にしているかを尋ねると、少し間を置いた後に「勝ちたいですね」と力を込めた返事が返ってきた。しかし「何勝」という目標は、まだ立てていない。
「まずは1軍の舞台に立つこと、ローテーションに入ることを目指したいです。1軍を勝ち取り、シーズンが始まってそのポジションで投げられて、初めて考えられると思います。まずは1軍で開幕を迎えられるように頑張ります」
パ・リーグのソフトバンク・田中正義、ロッテ・佐々木千隼らとともに、セ・リーグの新人王候補の呼び声も高いが「1日、1球を必死にやるだけです。自分のレベルアップが、チームのためになると思います。その結果、新人王などのタイトルが付いてくると思います」と謙虚な姿勢を崩さない。
「ファンの皆さんに応援してもらえる、チームの顔になりたいと思います」
気さくで飾り気のない受け答えの中に、野球に対する意思の強さを垣間見せる。誰からも好かれる明るくまじめな性格。自身が思い描く「勝てるピッチャー」になることができれば、おのずとその思いは叶うはずだ。
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篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki