7年目、未完の大器が目覚めるか…広島・福井優也が秘める可能性
甲子園と神宮を席巻、鳴り物入りで入団も結果を残せず
甲子園や神宮の杜を湧かせた右腕。大きな期待を受けてプロ入りしたが、今は十分な結果を出せずもがいている。だが、この男のプレースタイルや明るさは、見るものを磁石のように引き寄せる。福井優也。カープのエースになり得る逸材である。
「めちゃくちゃ緊張しました。クライマックスシリーズ(以後CS)ってこんなに緊張するものなんですね……」
カープ・ブームが全国を席巻した16年。ベイスターズとのCSファイナルステージ第3戦の9回表、福井はマツダスタジアムのマウンドにのぼった。打者4人に投げ無失点に抑えたが球がばらつくなど、安定感には欠けていた。
「緊張で力が入り過ぎて球が上ずっちゃいました……」
その後、カープは日本シリーズに進出するも、福井の登板はこの1試合のみ。戦前には「先発の可能性も……」と期待されていたのだが、結局、その機会が与えられることはなかった。そして、カープはファイターズに敗れ去り、シーズンは終わりを告げた。
福井の歩んできた道は興味深い。
愛媛・済美高時代の04年春に2年生ながらエースとしてセンバツ大会で日本一。翌年秋のドラフトではジャイアンツからドラフト4位指名を受ける。だが、その指名を断り、大学進学を決意(※1)。
「大学なら早稲田大……」と思っていたが、推薦受験の締め切りに間に合わず、一般入試も不合格。1年間浪人し、翌年無事に早稲田大に合格した福井は、神宮のマウンドに立つこととなった。
大学では、斎藤佑樹(ファイターズ)、大石達也(ライオンズ)との3人で黄金期を築いたのは周知の事実だろう。