7年目、未完の大器が目覚めるか…広島・福井優也が秘める可能性
甲子園と神宮を席巻、鳴り物入りで入団も結果を残せず
2011年、カープにドラフト1位で入団したルーキーイヤーから可能性を感じさせた。初登板のジャイアンツ戦でプロ初勝利を飾ると8勝を挙げた。しかし、翌年から勝てない時期が続く。
「今年は良いっすよ。絶対に2桁勝ちますよ(笑)」
毎年、春季キャンプで出会うと人懐っこい笑顔で語りかけてくる。しかし、結果はついてこない。
そして15年、夏場までに9勝を挙げる。「いよいよか……」と期待させるも、勝てなくなり、またしても10勝には届かなかった。例年のように……。本当に憎めない男である。
「縦のカーブをもっと有効活用したい。そうすれば打者の視線も上がるし、落ちる系の球ももっと活きると思うんですよね」と福井。
そこには理由があった。16年7月28日ジャイアンツ戦(京セラドーム)。初回先頭打者に投げたカーブが大きく抜ける。「今日は使えない球か……」と思わせるも、「より腕を振らないと、と思いました」と意識すると、試合中盤から決まり始めた。結果、勝利を収めるとともに、同年にはジャイアンツから3勝を挙げてみせた。
ドラフトでの指名を断った相手からのシーズン3勝。本人はそれについて多くは語らないが、どこか意地のようなものを感じさせてくれる。