斎藤佑樹も阻まれた春の壁 指揮官が感じる、かつてない「早実の強さ」とは

指揮官が解説する早実の「強さ」、「ハマってくると、もっともっと強いチームに」

「試合の中で、精神的にすごく強いんです」

 その言葉を、このように解説した。

「絶対的な決め手はない。野球というのは投手を中心に8~9割を左右すると言われるけど、決め手がない中で勝ち上がった。それは、どんな展開でも一球一球に対しての集中力、どんな打席の結果になっても諦めない姿勢。そういう強さを秋のチームにしてはすごく感じる。本来、夏になれば、そういう風に変わってくるけど、もう秋の時点でそうなっているんです」

 高校野球は夏の大会後に3年生が引退し、新チームに生まれ変わる。初めてメンバー入りする1、2年生が大半を占めることも珍しくない。そういう中で公式戦、ましてや早実という名門の重圧を背負って戦えば、経験の少ない選手たちが精神的な弱さを見せてしまいがちになる。だが、そういう“脆さ”がこのチームには感じられなかったという。

 振り返れば、斎藤佑樹(現日本ハム)を擁し、夏の甲子園で決勝再試合という激闘の末に日本一に輝いた06年の世代でも、春はセンバツ準々決勝で横浜(神奈川)に3-13の大敗で涙をのんだ。それほど、秋から春にかけての戦いは難しさがあるのだろう。しかし、過去のチームを上回るたくましさを持ち、和泉監督も「私自身も頼りがいある、強いチーム。ハマってくると、もっともっと強いチームになる」と評した。

「センバツはセンバツで明らかに違う大会。秋に頑張れた自信を持っていいけど、それにあまり大切にすぎるのではなく、新しい大会、チームとして臨みたい。どの大会でも頂点を目指す中では初戦に向けて調整して、力を出せる環境を作ってあげたい」

 清宮ばかりがクローズアップされるが、指揮官がチームへの確かな手応えを感じ取っている早実。かつてない「精神的な強さ」は60年ぶりの春の頂点へ、揺るぎない武器となるはずだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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