「奥深さ」に気付いた人も 野球の見方を変えるスコアシート
実況では「スコアシートを書いているからこそ話せる内容」も
セミナーは「スコアを付ける理由は記録として残せる。そして記録から様々なデータ分析ができる」という話からスタート。カウント編では「北海道日本ハム・大谷翔平選手が登板するときは、球速をメモする」「ストライク、ボールだけでなく球種を記入するとレベルが高い」とプロならではの書き方を披露した。また、スコアシートとは別にストライクゾーンを9分割したシートを紹介。9分割シートに球種や打撃結果を書くことで、バッテリーの配球や打者の弱点が見え分析ができることも参加者の興味を誘った。その後は出塁編、進塁編、交代編と話が進んでいった。
休憩を挟み、いよいよ試合映像を見て実際にスコアをつけることに。選ばれた試合は昨年のCSファイナルステージ第1戦、北海道日本ハム対福岡ソフトバンクの一戦。試合が始まると参加者は一球も見逃すまいと真剣に、食い入るように映像を見つめる。そしてワンプレーが終わるごとに、スコアブックへ記入していった。
試合は序盤から北海道日本ハム・大谷選手、福岡ソフトバンク・武田翔太投手の両先発の投げ合いが繰り広げられる。2回が終わると、平井氏は2回裏の大谷選手の打席を例に挙げて解説した。
「大谷選手が5球ファウルを打ったうち、4球がインコース。武田投手-細川選手の福岡ソフトバンクバッテリーの意図が分かりますね。そして途中からアウトコースに攻め方を切り替え、ピッチャーゴロに打ち取った。スコアを書いていると野球の見方が面白くなってきます」
時間の都合上、3回、4回を飛ばして映像が出たのは5回表。映像では「大谷選手がフォークボールを投げ始めました」と実況アナウンサーが情報を伝える。ここで斎藤氏は「この情報は試合中、スコアシートを書いているからこそ話せる内容ですよね」とすかさず説明を入れる。
そして5回裏。この回は北海道日本ハム打線が西川遥輝選手の2点タイムリーを手始めに、中田翔選手の2ランなどで一挙6点を奪取。打者一巡の猛攻となった。ヒットが続いたり二塁からランナーが生還したりするなど、初心者がスコアシートを書く場面としては難度か高いイニングになった。平井氏も「この回のスコアが付けられたら、もう大丈夫ですよ」と言うほどだった。