一度つまずいた才能を花開かせる―四国IL最多NPB輩出チームの指導法とは

「使い続けるリスクは監督が背負う」…独立リーグで指揮する監督の信念

 一方で、すべての選手がNPB入りという夢が叶えられるワケではない。それでも、指揮官は「目標をあきらめきれない選手が集まる場所でもある」と現実を受け止め、選手をグラウンドに立たせることにこだわっている。

「選手というのは自己満足でいい。甲子園に出れば、自己満足になるでしょう。でも、すべての人がそれを味わえるワケじゃない。独立リーグでもがき苦しみながら3割を打ったり、ベストナインを取ったりすれば、大いに自己満足にすればいい。めったに試合に出ない選手が代打でホームランを打ってファンに『よく打った』と喜ばれるとか、そういう単純なことの積み重ね。みんな、自分を認めてもらいたいということじゃないかな、まだオレはできるんだ、と」

 もちろん、すべては勝利は目指している。それでも「使い続けるリスクは監督が背負って、その中で信頼してあげることが大事。それで、もしダメで野球をあきらめるとしても、本人たちは納得してくれると思うから」と、独立リーグという特殊な環境で監督を務める役割を認識している。

 今年も2月1日から本格的に練習が開始。11年目のシーズンが幕を開ける。「NPBがトップとしたら社会人野球が3A、独立リーグが2Aくらい。社会人野球を含め、独立リーグのレベルを上げていかないと裾野の拡大にもつながらない」。かつてはプロ球団から指導者のオファーもあったが、さらなる野球界の活性化のため、体を張り続けるつもりでいる。

「野球界への恩返し。裾野を広げていくことにやりがいを感じるから。我々の想像を絶するような、そういう選手が出てきてほしいね」

 そう言って、視線を上げた指揮官。一人でも多いNPB行きを願いながら香川のグラウンドに立ち、必死に才能を花開かせようともがき続ける若き原石たちを見つめている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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