今年から軟式野球の指導者に 「天才打者」を支える名将・原辰徳氏の言葉
「うちのチームからもNPBに選手をいかせたい」
――病院では社員として働くことにもなるそうですね。
「今までバイトもしたことなくて、18歳でプロ野球の世界に入っているので、1回そういう世界も見ていいのかなと。その中で色々経験してやっていこうかなと。もう40歳なのに、バイトも1回もしたことがないんです。世間知らずで人生の半分まで来てしまった。野球の勉強もそうだけど、そういうところの勉強もしないといけない。それが絶対に何かのためになるし、野球にもつながるので。経験することで、将来、NPBの球団内に入れるかもしれない。武蔵を退団して、次に何をやろうとなった時に、相手がいるわけだから、相手が評価していないと自分を取ってくれないわけです。ということは、世間の勉強もしていかないといけないと思ったんです」
――好打者としてプロの世界で結果を残してきた石井さんですが、指導者としての強みはどこだと自分で考えていますか?
「打撃というよりは、いろいろな経験をしてきているところですかね。怪我や手術もありましたし、リハビリもしてきた。もちろん、『人生甘くないぞ』というところも言える。戦力外になってジャイアンツに行っているので、そこでの苦労も経験しました。そういうところは選手たちに伝えていきたいですし、何かあれば力になれると思います」
――自分のようなバッターを育てたい、と思いますか?
「自分みたいなバッターは多分、無理だと思います。それは『天才』と言われていたからとか、そういうのではなくて、やはりそれぞれの人、体型にあったバッティングが絶対にあるので、そこを引き出してあげられればと思っています。だから、自分みたいな打者に、という育て方はしないけど、こういうスイングをするんだよ、というのは教えていければ」
――最後に「公徳会 佐藤病院」での目標を教えてください。
「まずは来年、山形県で開催される全国大会での優勝が目標になります。あとは、軟式野球を盛り上げていきたい。昨年のドラフトでは軟式野球からNPBに行った選手(ヤクルトのドラフト6位・菊沢竜佑投手)もいるので、うちのチームからも行かせたいですね。野球は硬式だけではない。軟式も色々と勉強して、自分の糧にしたいです」
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count