オリ田口2軍監督に影響与えた3人の名将 日米の経験で導き出した指導とは
大切なのは「選手を迷わせないこと」
自分の準備に徹すればよかった現役時代とは違い、監督は選手全員の状況を把握しておかなければならない。チームが単なる個の集まりではなく、チームとして機能するためには、監督とコーチが共通の認識を持つ必要がある。選手の指導で最も大切にしていることが「迷わせないこと」。そのためにも、選手やコーチとのコミュニケーションを重視している。
「監督、コーチがそれぞれ違う話をしたら、選手は迷いますよね。だから、そこは指導者同士がコミュニケーションを取って、どういう方向性で行くかを話し合って、選手が迷わないようにすることが大事。僕が直接指導することはほとんどないですけど、あったとしてもコーチと一緒にするし、もしコーチがいなかった場合は、後で報告します。
選手を迷わせない。そして、誰一人としてほったらかしにせず、しっかり見てるよって満遍なく声掛けすることを大事にしてますね」
コミュニケーションの大切さを学んだのは、オリックス時代の恩師、故・仰木彬監督、カージナルス時代の恩師トニー・ラルーサ監督、そしてフィリーズ時代の恩師で、かつて近鉄でもプレーしたチャーリー・マニエル監督の影響が大きい。
「仰木監督もそうだったし、トニー(ラルーサ)もそうだったし。ちゃんと選手やコーチに対して声を掛けて、どういう状態なのか理解しようとする監督でしたね。マニエルも同じですよ。みんなに声を掛けて気を配るから『彼のためにやってやろうじゃないか』っていう選手ばっかりだった。チームとしての団結力がすごかった」
3人の監督からは「準備の早さ」も学んだという。
「みんな準備が早いんですよ。早く球場に来て、いろんなことを調べて、試合で何をどうしたらいいのか、ちゃんと最初から組んでますよね。ゲームに入ってからも、すべての準備が早い。だから、選手が迷わずについていけるんです。
選手にこっちの意思を伝えることも大事だし、特に試合中は気を付けるようにしてますね。でも、ファームの場合はベンチに入っている人数も多いんで迷うこともある。代打を出そうとして『あ、やっぱりこっち』なんて急に変えたりなんてね。選手に申し訳ないことしたなってこともあるから、次の試合でフォローしたりしますけど(笑)」