オリ田口2軍監督に影響与えた3人の名将 日米の経験で導き出した指導とは

「決断っていうのは瞬発力なんです」

 2軍監督としての1年目は「結構迷ってますし、大分準備しているけど、もっと早くできるだろうって思います」と振り返る。1年目の経験を踏まえ、2年目の今季に重視したいのは「瞬発力」だという。

「決断っていうのは瞬発力なんですよ。目の前で起こったことに対して何秒で決断できるか。1秒かかるか、かからないかの世界だと思うんですよ。例えば、ヒットエンドランのサインを出すのに、大分前からサインを出すことは決めているわけですよ。その最終決断をどこで下すか。1球前のストライクの取られ方、ボールの取り方、見逃し方とかっていうのを見ながら、いけるかどうかの最終決断を下す。そこの瞬発力っていうのは、僕はすごく大事だと思うんですよ。

 去年、瞬発力がすごくいるってことを学んだんで、僕は今年は何も計画を立てないことにしました(笑)。長期的なビジョンはもちろんありますが、キャンプに入っての練習メニューなんかは、コミュニケーションを取る中で周りが計画を立ててくれますから、僕はそれをどう判断するか。その場その場の判断っていうのは、刻一刻と変わっていきますから、僕はその瞬発力を養うために計画は立てません。

 コーチが答えを待っていたり、選手が答えを待っている状態はよくないと思うんですよ。『どうします?』って聞かれた時に『こうしてくれる?』って答える。『その根拠は?』って聞かれたら、すぐにポンポンと答えが出てくるくらいの瞬発力がないとダメだと思いますね。これは経験とともに鍛えられると思います。だから、僕は瞬発力を鍛えます」

「見ること」に徹した2016年をステップに、田口監督がどんな軌道修正を加えながらチームを率いるのか。そして、試合中にベンチでどんな「瞬発力」を見せてくれるのか。2017年のオリックス2軍の進む方向に注目したい。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

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