営業マンを経て独立リーグ監督へ 元巨人のドラ1守護神、44歳の現在地
「この子たちには時間がない」…NPB入りへ選手たちに求める「意識」と「志」
NPB在籍17年。生き馬の目を抜くプロの世界を歩み続けた自負があるから、NPBを目指す上で求める意識レベルは高い。
「育成でもいいからプロ野球選手になれたらいい、という考えは違うと思う。ユニホームさえ着られたら、行ったら行ったで頑張るさなんて、そんなに時間はない。毎年、毎年すごい選手が入ってきて、ダメな選手は切られる。プロになった上で、それなりに仕事ができることを今から目指しておかないと。できるだけ高い志を持っていかないとダメ」
就任1年目。2月1日から本格的に練習が始まり、NPBを目指した「育成」とリーグ優勝という「勝利」の二兎を追いかける日々が幕を開けた。「優勝することも大事。だけど、勝ったり負けたりの中から学んで成長することも当然ある。しっかりとした技術、体力、考え方、心技体も同時に身に着けないといけない」と理想を掲げる。
「大げさな話、140キロくらいの投手で直球、変化球をまんべんなく投げられたら、ここではそれなりにいい結果は出せる。でも160キロ出せるけど、コントロールが悪いという人がいたら、そっちの方がプロからしたら魅力的。独立リーグで10勝、防御率1点台を残したから、間違いなくプロにかかるならいいけど、そうじゃないなら、プロの目に留まるものを身に着けることが大事になる。そういう選手たちが集まり、いい集団ができて、チーム力となった結果、試合でいい勝負ができるというところじゃないかな」
現役時代、ピンチの場面でも鉄仮面をかぶっているかのように、感情を出さない姿が印象的だった。果たして、指導者としてグラウンドでは、どんな“顔”を見せるのだろうか。
「マウンドにいる時は弱い姿を相手に見せちゃいけないと指導を受けてきたけど、指導者としてはできる限り厳しくいきたい。プロに入るなら、年齢も大きな武器になる。この子たちには、やはり時間がない。僕には厳しく言ってくれる人がいたし、腹が立つこともあったけど、それが良かったわけで。厳しくやりたいなと思う。もちろん、自分に対しても厳しい気持ちを持って、ね」
最後に「今までの野球人生で僕が大切に思ったことは惜しみなく伝えてあげたい」と付け加えた新指揮官。かつてクールな表情でマウンドに君臨した男は、愛媛の地で、情熱的にグラウンドに立っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count