「あの時の栄光を覚えている」早実の女房役が語る、苦悩の斎藤佑樹への思い

「甲子園の舞台に立ちたい」…捕手転向でエースと険悪になった事件とは

 白川さんの学年には正捕手がいなかったため、和泉実監督はさまざまな同級生にマスクをかぶらせていた。

「『いつか僕に来るだろう』と思っていました。監督から話があった時は『本当に来たな』っていう感じでしたね。1週間くらい時間をもらって考えました」

 白川さんには「甲子園の舞台に立ちたい」という、もう一つの夢があった。絶対的エースの斎藤がいる以上、投手として投げられても2、3番手。そのポジションで投げるよりも、捕手を務めたほうがチームに貢献できると判断した。

「1個下の学年には、キャッチャーをやっている古山(将)がいましたから、レギュラーは確約されていませんでした。それでも『斎藤の後ろを投げるより、キャッチャーの方が頑張れるのかな』と思いました」

「小学生の時に少しだけキャッチャーをやっていましたけど、全国でトップクラスのボールを捕るのは、難しかったですよ」。そう当時の苦労を語る。それでも、正捕手不在のチームのために、早実のエースになるという夢を諦め、必死で練習を続けた。

 そんな中、ある事件が起こる。2年秋の明治神宮大会準決勝で、駒大苫小牧に3-5の逆転負けを喫し、斎藤はこの試合、何度もボールを後ろに逸らした白川さんを非難した。これを機に、エースとは険悪な雰囲気になった。

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