糸井、デスパイネ、山口、岸、黒田…数字で検証、主力退団の穴は埋まるのか

山口、岸、黒田ら移籍&引退した先発投手の穴は埋まるか?

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主力が去り生じた穴は、どの程度埋まりそうか?

 ここからは主力投手が退団したチームを見ていく。山口俊が退団したDeNAは、他球団に比べ強力な先発投手陣を擁している。山口を除いても、井納翔一、石田健大、今永昇太、久保康友とローテーションクラスがずらりと並ぶ。しかし、このあとに続くのは実績が少ない投手だ。一定の活躍を果たしていたギジェルモ・モスコーソは退団、左腕の砂田毅樹は救援への適性の高さから、ブルペンに回る可能性もある。

 山口に代わって誰がローテーションに入ってくるかは読みにくいが、昨季4度先発登板した三嶋一輝(24.0回/防御率3.75)が、昨季と同じ投球内容で山口と同じ138.2回を投げた場合、チームの失点は31.0点増える計算になる。新外国人先発投手2名の補強もあり、また三嶋の成績が改善する可能性もある。砂田が先発として活躍する可能性もあり、実際にこれほどのダメージになることは考えづらいが、最大で年間30点程度、失点が増える危険性を考えて戦う必要はある。

 チームで最も計算できる投手だった岸孝之が退団した西武はどうか。昨季のローテーションは岸、菊池雄星、多和田真三郎、高橋光成、野上亮磨、ブライアン・ウルフらが回していたが、質も量も余裕はなく、Bクラスに沈む要因のひとつにもなっていた。そこにきてのエース退団のダメージは小さくない。

 仮に、ローテーションの谷間で登板する機会が多かった十亀剣が、昨季先発登板時の質を維持したまま、岸が投げた130.1回を担ったとすると、失点は11.4点増えると計算される。DeNAでの計算に比べダメージが小さいのは、十亀が昨季先発登板で一定の内容の投球をみせていたためだ。ただ130.1回までイニングを伸ばすとなると、昨季の質を保ちながらというのも難しくなりそうである。また、十亀以下の力の投手が先発を任されれば、失点はさらに増えることとなる。郭俊麟が岸のイニングを担った場合、ダメージは32.9点まで膨らむ。

 黒田博樹が引退した広島は、昨季のローテーションはクリス・ジョンソン、野村祐輔、黒田、岡田明丈、ブレイディ・ヘーゲンズらが務めた。昨季は主力投手に故障が少なかったためうまくローテーションが回ったものの、先発投手陣の層は決して厚くない。6番手以降を務めた福井優也、九里亜蓮らと黒田の実力差は非常に大きい。仮に九里亜蓮が昨季の先発時の投球内容で、黒田が投げた151.2回を担ったとするならば、失点が31.3点増える計算となる。

 だが広島の場合、一定の実績がある大瀬良大地が先発に復帰することが予想されている。昨季は夏場以降まで出遅れ、ほとんどが救援登板だったが、彼が2014年、2015年に見せた先発として記録した質で、150回近くを担うことができるならば黒田の穴は小さくなり、今季と遜色ない先発投手陣となる可能性もある。DeNAや西武と比較すると、状況は明るいといえる。

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