「信じることをやめないで」 苦しむロッテドラ1佐々木を原点に返らせた唄
背番号11が経ったスタートライン「自分を信じて頑張ろうと」
そして、大学3年になると頭角を現すようになる。2015年には元横浜ベイスターズ(現DeNA)で長らくエースとして活躍をした野村弘樹氏が特別コーチとして野球部に合流した事も転機となった。大きな出会いだった。プロの第一線で活躍をされた方からの直接のアドバイスに目からウロコが落ちる思いがした。基本中の基本であるボールの握り方から修正を施され、投球に取り組んだ。自信なさげに投げるマウンドでの立ち振る舞いも指摘された。
「もっと堂々と投げろ。打たれてもクヨクヨするな。マウンドでも、ベンチでもクヨクヨせずに堂々と投げろ」
少しずつ結果が出ると自信が伴ってきた。ちょっとしたことがキッカケでグングンと力が伸びていった。140キロそこそこだったストレートは150キロに達した。気が付くとドラフト注目選手となり、そして、昨秋プロ5球団が1位指名。縁があり、マリーンズのユニホームに袖を通した。打たれては悩み、苦しみ、逃げ出しそうになった2年時を考えると夢を見ているような瞬間だった。
お気に入りの曲が「信じる事をやめないで」と優しく語りかけるように背中を押してくれ、そのメッセージを信じてガムシャラに投げてきた結果だった。あきらめなかったことでキッカケが訪れ、実直に進み抜いた事で、成長につながった。唄は佐々木にどんな状況下でも自分を信じるという生き方を教えてくれた。
「これからも、未知の事ばかりですが、このスタートラインから自分を信じて頑張ろうと思います」
2月21日、長きに及んだマリーンズの石垣島キャンプは終わる。オープン戦、公式戦と続く道。その先に何が待っているかは分からない。決めた道を行くしかない。曲の歌詞の中にある言葉が佐々木の脳裏をよぎる。プロの壁にぶち当たる時もあるだろう。だけど、そんな時、また大好きな曲の歌詞に勇気づけられ、前に進むつもりだ。背番号「11」のスタートライン。千隼伝説はまだ幕を開けてはいない。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
【了】
マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara