連覇への秘策? 近藤の二塁コンバートが日ハムにもたらす数々のメリット

内野手としての可能性を見せていた2014年の三塁守備

 コンバートの成否は、近藤がどの程度二塁の守備をこなせるかにかかっている。日本ハムがどのような基準で守備の評価を行っているかの詳細は不明だが、客観的な数値からは、可能性をうかがわせる結果が出ている。ゾーン別の打球処理(アウト奪取)状況などから野手の守備貢献を評価し得点換算したUZR(Ultimate Zone Rating)の数値は、2014年に527回1/3を守った三塁で8.5を記録した。これはNPBの平均的な三塁手が同じイニング(527回1/3)を守った場合に比べ8.5点多く失点を防いだという評価を意味する。

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2014年、三塁で好守備を見せた近藤

 このUZR8.5という値は、三塁手としてかなり良いもので、2013年から昨シーズンまで4年連続でゴールデングラブ賞を獲得している松田宣浩(ソフトバンク)を上回っていた。もちろん527回1/3という守備イニングはシーズンの半分程度のものなので統計的な信頼度は下がるが、近藤が低くない守備能力を持つ可能性を示唆するものではある。

 また、打球処理状況をゾーン別に見ていくと、定位置から左右への打球、特に三遊間(E、F、G)の打球に対しては3つのゾーンですべて2.0以上を記録している。普通の三塁手よりも広い範囲を高い確率でアウトにしていることがわかる。これは打球への反応やフットワークの良さなどをうかがわせるものであり、内野手として一定のスキルを備えている可能性は高い。

 もちろん、三塁手と二塁手では違った動きも必要であり、それにどれだけ対応できるかはわからない。捕手で問題視されることもあった送球がどれだけ改善できるかもポイントだろう。ただ、もしこのコンバートが成功した場合、連覇を狙う日本ハムにとってかなり有効なオプションとなることは間違いないだろう。

※出塁力・長打力両面から攻撃力を評価し、それがリーグ平均に対しどれだけ抜きん出ていたかを表す指数。100が平均。130であれば「リーグの平均的な打者の130%、約1.3倍の働きを見せた」という意味。

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~5』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(http://1point02.jp/)も運営する。

【了】

DELTA●文 text by DELTA

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