欠点は見て見ぬふり 松坂大輔の恩師が明かす「良いところを伸ばす」指導論
「野球の指導は半分、あとの半分は心のゆとりをいかに持たせるか」
大枝さんは「野球の指導は半分、あとの半分は心のゆとりをいかに持たせるか」だと話す。中学生という難しい年ごろの子供を持つ保護者からも、様々な相談を受けるそうだ。そんな時も「彼も彼なりに頑張っている。親御さんも耐えて下さい」とアドバイスしている。
「その場で怒ってダメにするのは簡単です。厳しいことを言う時もありますが、子供の大切な成長の時期です。多少遊ばせて、ゆっくり伸ばすことも大切だと思っています」
プロで活躍する選手だけではなく、「大枝さんのような指導者になりたい」と、監督やコーチ、野球部長など、様々なところに自分の教え子が増えてきたと、大枝さんは嬉しそうに話す。近年は、甲子園に出場する強豪校に進学する生徒も増えている。
「僕はプロで活躍するという夢を諦めました。でも、その夢を教え子たちが叶えてくれている。これからも、プロに進んでくれる子たちが増えてくれると嬉しいですね」
大枝さんは「プロで活躍する選手を育てる」という新たな夢を実現させた。「プロで活躍する」というかつての夢を教え子たちに託し、今後も指導に力を入れていく。
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篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki