「完封」は今やレアな記録!? オリ金子、現役最多タイ21度目快投劇の価値
投手の分業化が進み、打者の技術も進化する中で光る金子の投球
金子千尋はキャリアで21回目の完封。これは、巨人の杉内俊哉とならび、現役最多となった。しかしこの数字は、過去のNPB記録からは遠く及ばない。
NPB通算完封5傑。%は、先発登板に占める比率(完封引き分けは含まず)。
投手 完封 先発 %
1、スタルヒン 83 449 18.5%
2、金田正一 82 569 14.4%
3、小山正明 74 583 12.7%
4、別所毅彦 72 483 14.9%
5、鈴木啓示 71 577 12.3%
これに対し、現役5傑は以下の顔ぶれだ。
1、杉内俊哉(巨) 21 309 6.8%
1、金子千尋(オ) 21 208 10.1%
3、松坂大輔(ソ) 18 190 9.5%
4、岸孝之(楽) 15 222 6.8%
5、成瀬善久(ヤ) 12 224 5.4%
5、吉見一起(中) 12 154 7.8%
これを見ても、今と昔の野球が大きく異なっていたことがわかる。シーズン最多完封記録は、1942年、野口二郎(大洋)と、1943年藤本英雄(巨人)の「19」だが、今の投手は一生かけてもこの数字に及ばないことが多いのだ。
投手の先発、救援の分業が進み、打者の技術も進化する中で、「完封」は、今やレアな記録になりつつある。昨年はセで22、パで17。それだけに金子千尋の見事な投球は光っている。今季は、何人が完封を記録するだろうか。
【了】
広尾晃●文 text by Koh Hiroo