クロワッサン最高、カツオに大満足― 球団副社長が明かすマニーの高知生活
高知市内を自転車で散策、気さくなマニーに住民も喜ぶ
それでは、マニーは高知でどんな暮らしをしているのだろうか。
「高知市内のホテルに滞在しています。すごくフランクで、試合がないと、自転車で市内をあちこち回っています。夫人は10日ほどで帰国したので、気軽な身分です。
知人から『街中で自転車に乗っているマニーに声をかけたら、手を挙げて応えてくれた』みたいな話をいくつか聞きました。友人を呼び寄せて、2人で自転車であちこち回ったりもしていたようです。
高知を離れたのは2日だけ、高知ファイティングドッグスは、高知市郊外の越知町に本拠地があるのですが、山に囲まれた環境も気に入ったようですね。
そして食べ物。『高知のクロワッサンは最高だ!』と言っています。『アメリカのクロワッサンは甘すぎるし、ドミニカ共和国のはもっと甘くて体に毒だ』とのことです。
昨日、私の携帯にマニーから電話が入ったのですが、何か『ファイアステーション』とか言っている。よく聞いてみたら、ホテルのスタッフから『消防署の宴会がある』と聞いて、飛び入り参加することにしたようです。私も慌てて飛んでいきましたが、マニーは消防署員と一緒に高知名物のカツオを食べて、大満足のようでした。
肉離れのリハビリで整骨院に行っても、おばあさんに笑いかける。おばあさん、びっくりして立ち上がってましたけどね(笑)」
患部の経過も良好で、すでに打撃練習を始めているが、まだフル出場は厳しそうだ。
マニーとの契約は7月末までだが、四国アイランドリーグplusの前期シーズンは5月末に終了する。あと1か月足らずで、マニーの高知生活は終わりを告げる。
「彼はNPBに行きたいと願っています。そのために頑張っています。もともと我々はNPBに人材を送り込むことを目的にしていますから、その点は他の選手と同じです。でも、若い選手のように、何が何でも、というわけでもないようです。
今の彼には神様にお祈りする時間、趣味の車に凝る時間、打撃練習に打ち込む時間、そして日本文化を学ぶ時間があります。それぞれに一生懸命取り組んでいます。お金には不自由はしていないようですから、そのすべてを楽しんでいるようですね。
もちろん、NPBに行ってほしいですが、そうならなくても有意義な時間になっているのではなないでしょうか。マニーが来たことで、メディアの数が増え、選手たちも張り合いができたようです。
私たちにとっても、真摯に野球に取り組むマニーの姿は、本当に勉強になります。マニーが高知に来た、そのこと自体が本当にかけがえのないことだったと思っています」
マニーの加入は、いろいろな形で高知に刺激を与えているようだ。
【了】
広尾晃●文 text by Koh Hiroo