44歳元燕ドラ1右腕の今 カラオケ店勤務経て辿り着いた第2の人生とは

飲食店で成功する元選手は少数、「人脈だけでは仕事はできない」

「ヤクルトを戦力外になり、シダックスの話が決まったときは『まだ野球がやれるんだ』という気持ちしかありませんでした。でも、シダックスで契約をしてもらえなくなったとき、何をしていいかわからなくなり、戦力外を受けた時とまた同じ気持ちになりました。結婚して子供もいたので、何でもいいから仕事を探して、シダックスのカラオケ店の仕事を始めました」

 その後、3年ほどで退社し、転職を繰り返したという。

「いくらのものを売って、いくら利益が出るのか。経営を全く理解していませんでした。飲食を始める元選手は多いですが、ノウハウがわかっていないので成功する人は少ないですね。人脈だけでは仕事はできないと思います」

 高校を卒業後、日産自動車に入社した当初は「3年でプロに行けなかったら、会社を辞める」と決めていたという。

「今考えれば、プロに行けなければそのまま会社に残って働くのが1番だと思います。高卒で、日産のような大企業に入社できるなんてほとんどありません。でも、当時は先まで考えていませんでした。プロしか見ていなかったですね」

 そう振り返る北川さんは、社会人野球でのプレーを続けていこうとする学生たちに「夢をバッサリ切り捨てる言い方はできないが、現実もしっかり見て欲しい」と話す。

「社会人のチームは、自分たちの時は160ほどありましたが、今は80ほどしかありません。企業が野球のチームを維持するには、年間約3億円かります。不景気の影響でどんどんチームが減ってきています。『これがどういうことかわかるか』と学生たちには話しています。企業の採用も早くなってきているので、就職活動に乗り遅れると厳しくなってくる。内定はいくつあってもいいですから、野球をやりながら就職活動も頭の片隅に置いてほしいですね」

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