“真のエース”と認められるために―菊池雄星がどうしても投げ勝ちたい投手
「絶対的なエース」にいつか勝つために――
それから約1年半が経ち、再び機会が巡ってきた。「あの時とは、立場が違う」との本人の言葉通り、開幕投手を経験し、2桁勝利を果たし、そして、『エース』の称号を受け継ぐまでに成長した。今の自分が、“ライオンズのエース”と呼ばれるのに相応しいのか。自分の現在地を知る上でも、重要な機会だった。
結果は、7回を投げ3安打2失点。失点は、味方のエラーが絡んでのものだったため、悔しさが残るが、それでも西武の背番号16は「ミスをカバーできるピッチングができてこそ、みんなに認めてもらえるので」と、自ら責任を背負った。とはいえ、直球は155キロを計測し、10奪三振を奪う、まさに圧巻の投球だった。
一方、ロッテの背番号16も、7回5安打2失点と快投。見事な投手戦は、結局、両者対決もチームもドローに終わった。
「まだまだ足りない部分ばかりですが、ああいう絶対的なエースの背中を見て僕らも練習してきたので、いつか勝てる日が来ることを1つの目標にしていきます」
2度目の対決を終え、そう語った25歳左腕。尊敬する先輩右腕に投げ勝てば、真のエースとして認めてもらえる――。そんな思いを秘め、次回の対決へ胸を躍らせた。
【了】
上岡真里江●文 text by Marie Kamioka