「あの2校との差は大きい」―大阪の“秋の王者”上宮太子が抱く思い

「自信をつけていかないと、あの2校には追いつかない」

「あの2校との差は、やはり大きいです。だから自分たちはワンプレーを大事にして、一生懸命戦うしかない。今、勝ち上がる中で反省点は毎試合ありますが、それでも勝ち上がって自信をつけていかないと、あの2校には追いつかないんです」(日野監督)

 上宮太子では週に3度、8時間授業があり、練習開始が5時になるため数時間しか練習ができない。加えて兄弟校の上宮とグラウンドを分け合って練習するため、1週間しっかりと練習に打ち込める環境ではない。限られた時間の中で、どれだけ必死に追い込めるか。それが上宮太子ナインの最大のテーマでもある。

 選抜の決勝戦は、録画して部員全員で観戦したという。エースの森田輝は、自宅であらためてその試合を見返し、強打者が揃う2校を前に、この打者だったら自分はどんな攻めをするか、どうすれば打ち取れるのかシミュレーションした。この冬場は走り込んで下半身を鍛え、ストレートのキレをアップさせることにこだわってきた。体重は秋から3キロほど増えたが、それでも65キロと細身だ。だが、インコースの出し入れとキレの良さは目を見張るものがある。この日もストレートで強打者を詰まらせ、凡打の山を築いた。

 夏は大阪の頂点に立てば、文句なしに甲子園の切符を掴める。「もう(昨秋の近畿大会のような)負け方はしたくないです」。力強く言い切ったエースの言葉に、この春の、そして夏への強い意気込みを感じた。

【了】

沢井史●文 text by Fumi Sawai

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