「実力的には下の下」―人間性で名門を牽引 3季連続優勝を目指す明大新主将

ドラフト候補ら3人を副主将に任命し「継なぐ」野球を体現

 昨年の主将、柳はリーグ戦で通算23勝、奪った三振は歴代8位の338個。チームのエースとして活躍しただけでなく、2年連続で大学日本代表にも選ばれた。4年時には代表チームでも主将を務め、日米大学野球選手権優勝にも導いた。チーム内では、仲がいい選手にも悪いところがあれば厳しく叱咤。その言葉は相手にも受け入れられ、関係性が崩れることはなかったという。エースとしても、主将としても、圧倒的な存在感を見せていた。

「柳さんのような主将にはなれないことは分かっています。自分では完全に力不足です」

 それを理解している中野は、チームメートの力を借りることに決めた。今まであまり注目されていなかった副主将のポジションに、今秋のドラフト候補右腕、水野匡貴投手ら3人を指名した。

「実力もあり、誰に対しても正しいことを言える水野のほか、1年から結果を残してきたチームの中心、竹村春樹内野手、コミュニケーション能力に長けている生山太一内野手の3人を副主将に選びました。彼らに力を貸してもらって、自分の足りないところを補っていきたいと思います」

 今年のチームスローガンは「継なぐ」。個々の力は昨年に比べて劣っても、それぞれの力を合わせ「つなぐ野球で勝ちにいこう」という思いが込められている。主将の力も、プロ入りを果たした先輩たちには及ばないかもしれない。しかし、中野には頼もしい副主将がいる。名門野球部を率いる新主将は、チームメートのサポートを得て3季連続の優勝を目指す。

【了】

篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki

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