QS率7割も今年のダルビッシュは「まだ序章」 元MLB右腕「サイ・ヤング賞も」
「縦回転の意識が加わると、打者はかなり打ちづらくなる」
今季は被打率が.204と打者を圧倒しているが、フォームの中で「あること」を意識すると、打者はまったく手を出せないピッチングができるのではないか、と藪氏は言う。
「彼はどちらかと言うとスリークオーターで投げている。だから、投球フォームの力学としては縦回転というより横回転です。そこに少し縦回転の意識が加わると、打者はかなり打ちづらくなると思います。
縦回転の動きの方が、キャッチャーにより近い位置でボールが手から離れ、打者の目に映る時間が短い。それに比べると、横回転はボールが投手の指を離れてからミットに収まるまでの時間と距離が、どうしても長くなってしまうんですね。もちろん、横回転の場合、スライダーがよく曲がる利点もあります。
ただ打者から見ると、投げ下ろされる球は視界を横切る距離が短く、水平に振り出すバットでは点で対応するしかない。だけど、横回転で投げられた球は視界に入る距離が長いので、点というより線として対応しやすくなるんですよ。
カーショーやシャーザーといった投手は、縦回転の強い投げ方をしますよね。彼らは投げる時に、少し捕手寄りの肩が上がるでしょ。日本ではよく“ギッタンバッコン”って言われる投げ方だけど、上半身を使って、上から下に叩きつけるようにパチンと投げられると、左右の制球のぶれは少なくなりますね。ダルビッシュ君は少し左手が低い位置にあるから、少しだけ上げる意識を持つだけで、かなり違うんじゃないかと思います。
肩のラインがマウンドの傾斜に逆らえば、投げる球に高低差が生まれる。傾斜に平行ではフラットな球にしかならない。捕手に近い肩が上がっていると、ボールを持つ腕の肘が下がって見えるかもしれませんが、両肩のラインに対して低くなければ問題ありません」