「イッツゴーン」に大反響 日ハム実況担当アナウンサーが英語を使うワケ

「試合に選手が勝つから注目してもらえるんです」

 選手やファンからの反響については「感謝しかない」と言う。

「この世界、話題にしてもらえることに感謝しかないですよね。ただ、そういう風にしてもらおうと思ってやっていたわけじゃないんですよ。たまたまバックグラウンドがそうであって。実況ではまだまだミスも多いし、自分の中ではそれだけが独り歩きしても絶対ダメだと思っています。

 あくまでもスポーツをしっかり伝えて、そのスポーツをもっと見たいとか、やりたいとか思ってもらえるような。スポーツ全体が盛り上がってくれたらいいですね。スポーツはお祭り。みんなが関わりたいと思う、そういう実況にしたいです。スタジアムに行ってその興奮を味わいたいとか。僕は選手じゃないですけど、そういう立場でスポーツを盛り上げていく方法、スポーツを通じて日本を豊かにしていきたいというのが根本にあります」

 これだけインパクトの残る実況をしていると、特に札幌の街で声をかけられることはないのだろうか。

「顔を見て、というのはないですね。あまり映像で顔が出ないので。ただ、しゃべると『あれっ?』と思われるんですよ。コンビニとかでも。『あれっ、聞いたことあります』みたいな。そこで『イッツゴーン!』と言ったら、『ああ!』ってなりますよね」

 日本ハムには、昨季本塁打王のレアード、打点王の中田、現在は離脱中の二刀流・大谷、覚醒中の大田らホームランバッターが揃っている。ファンは数多くの「イッツゴーン!」を待っているはずだ。

「たまたま東京ドーム(5月12日ロッテ戦)で7本出て、“ゴーン祭り”になりましたね。あれ、札幌ドームならシリーズで2本とかでしょ。記録になったから『ゴーン』も注目してもらえるんです。『僕が』じゃないんですよ。試合に選手が勝つから注目してもらえるんです。絶対そこを勘違いしちゃいけないと思うし、あくまでも解説者をしっかり立てて、盛り上げていくという役割だと思っています」

【了】

石川加奈子●文 text by Kanako Ishikawa

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