日本人選手に通訳は必要か 田中将大への“苦言”が波紋、経験者の考えは?
川崎は通訳なしでプレーも「むしろプラスになっていた」
もちろん、通訳は必要か否か、という疑問の答えは簡単なものではない。「それは通訳をやっていた私の口から言えることではないと思います。選手が『通訳がいてくれて助かった』と言ってくれれれば、そこで初めて自分の存在意義があったのだなと感じることなので」。あくまで選手をサポートする立場。好結果を残すための助けになれば――。この思いが常に根底にあった。
もっとも、英語では細かいニュアンスなどが伝わらず、誤解を生む可能性もある。チームメートとの日常的なコミュニケーションに問題がない選手でも、マウンド上での投手コーチとの会話や、メディア対応では通訳の力を借りることがほとんだ。今回の騒動でも、レミー氏がテレビ中継で上記の発言をしている間には、通訳がいるのは会話の細かいニュアンスで誤解を招かないような配慮が必要だからだと実況がフォローしていた。
ただ、新川氏は、通訳なしでプレーを続けながらチームメートと積極的にコミュニケーションを取り、現地で絶大な人気を残っていた川崎宗則内野手(現ソフトバンク)のような例もあると指摘する。「川崎さんは自分で話していましたが、誤解を生んでマイナスになったことがあったかというと、第三者の目線からは少なかったように思います。100%の英語じゃなくても、(現地)メディアに取り上げられて、むしろプラスになっていた」。当然、細かい部分での苦労は多かったはずだが、通訳がいなくても多くの人が心配するような問題は生まれなかった。
「日本でも、買い物などに行って日本語をうまく話せない人が店員にいて、言いたいことが伝わらなかったら、『日本で仕事をしているのだから、日本語を喋ってほしい』と思うこともあると思います。これが本当の人間的な感情かなと。自分は20年以上アメリカに住んでいたというのも根底にありますが、あの(解説者の)発言には、実はあまり驚きませんでした。ただ、MLBが決めたルールの中で認められているものなので、MLBが世界に野球を広げていこうという中で、それに反する発言だったとは思います」